2)神経機能への関わり
ガングリオシドは神経系に多く存在していることから、神経機能の調節に関わっていると予想されていたにもかかわらず、実体の解明は遅れていた。最近になっていくつか新しい事実が明らかにされ、神経機能へのアプローチに光がみえてきた。(a)記憶や学習の分子機構として注目されているシナプス伝達の長期増強(long-term potentiation, LTP)の促進にガングリオシ
ドが働いているのではないかとの最初の報告が Seifertらによってなされた(1985)。その後それを支持あるいは否定する意見があったが、加藤ら(山形大医)と安藤ら(老人研)の共同研究によって、明確なLTP促進作用が認められた。(b)コリン性ニューロンに特異的に存在するガングリオシドChol-1aが安藤ら(1992)によって構造決定がなされたのはコリン性神経作用への特定のガングリオシドが関わっていることを示す点で意義が大きい。Chol-1aの関わる分子機構が解析されつつある。(c)ガングリオシドの合成酵素をノックアウトしてガングリオシドの機能を調べる研究が始まっている。古川鋼一ら(文献4)はGM2ノックアウトマウスの作製に成功し、何らかの神経障害の特定が期待されている。
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